「体調不良」は嘘だったのか?
9月19日の横浜FC戦。モウレロ監督はベンチにいなかった。
クラブの発表は「体調不良」。でもその翌日に解任が発表された。
これを信じるサポーターは、少ない。
僕は元Jリーガーとして約10年間プロの世界にいた。
降格争いに何度も巻き込まれた。
監督が交代する瞬間を、ロッカールームの内側から見てきた。
だからある程度わかる。
「体調不良」の裏で何が起きていたのか。
そしてコーチ昇格という選択が、選手にとってどういう意味を持つのか。
この記事を読めば、こんなことがわかる。
- モウレロ政権6試合のデータが示す「本当の問題」
- 監督交代の2パターン(コーチ昇格 vs 外部招聘)、それぞれの光と闇
- 久保山新監督の「本来のFC今治のサッカー」が意味するもの
逆に読まないと、「解任されたから次は良くなるでしょ」という根拠のない楽観に流されます。
解任ブーストは永遠には続かない。構造を知らないと、同じ失敗を繰り返す。
モウレロ政権のデータ——数字は嘘をつかない
まず事実を並べる。
モウレロ監督 全6試合成績(2026 J2リーグ 第1節〜第6節)
| 節 | 対戦相手 | スコア | H/A | シュート | 成功率 | 保持率 | チャンス構築率 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | いわき | 1-2 | A | 15 | 6.7% | 56.7% | 12.9% | ● |
| 2 | 大宮 | 2-3 | H | 17 | 11.8% | 59.4% | 12.3% | ● |
| 3 | 富山 | 0-4 | A | 14 | 0.0% | 51.5% | 13.9% | ● |
| 4 | 山形 | 0-3 | H | 9 | 0.0% | 43.6% | 9.9% | ● |
| 5 | 大分 | 1-1 | A | 13 | 7.7% | 48.5% | 11.2% | △ |
| 6 | 鳥栖 | 1-0 | H | 8 | 12.5% | 49.3% | 7.6% | ○ |
通算:1勝1分4敗 5得点13失点 勝ち点4 J2最下位
(データ出典:Football LAB)
気づいただろうか?
ポゼッション50%超の3試合(いわき・大宮・富山)は、すべて敗戦。
逆に、唯一の勝利は鳥栖戦。ポゼッション49.3%、シュートわずか8本、チャンス構築率7.6%。
すべてシーズン最低の数値。なのに勝った。
これ、前回の記事で分析した構造だ。
詳しくはこの記事↓を読んでほしい。
ボールを持つほど負ける。持たないほうが勝てる。
FC今治のポゼッションサッカーは、J2では「罠」になっていた。
「体調不良」の嘘!?——サポーターへのリスペクト

ここからは個人的な意見を言わせてほしい。
9月19日の横浜FC戦。モウレロ監督は「体調不良」でベンチにいなかった。
代わりに久保山ヘッドコーチが指揮を執った。結果は1-2の敗戦。
そしてその翌日、9月20日に解任。発表は9月21日。
普通に考えてほしい。
答えは明白だ。横浜FC戦の前から、解任は決まっていたと考察できる。
「体調不良」は、解任発表までの時間稼ぎだった。
久保山コーチに実戦で指揮を執らせる「テスト」でもあったかもしれない。
あくまで考察だが。
クラブ側の事情が透けて見える。
契約解除の手続き、後任の承諾、リリース文の準備
——時間が必要だったんだろう。
でもね。サポーターには本心を話してほしい。
「監督が体調不良です」と聞いて、心配したサポーターがいたはずだ。
「大丈夫かな」と思いながらスタジアムに行った人がいたはずだ。
翌日に解任を知って、どう感じたか。
「最初から正直に言えよ」——これが素直な感情だと思う。
クラブにとっては「手続き上の都合」でも、選手やサポーターにとっては信頼の問題だ。
心理学で「認知的不協和」という概念がある。
「このクラブを応援している自分」と「このクラブに嘘をつかれた自分」。
この矛盾を抱えたとき、人は不快感を感じる。
その不快感を解消するために、人は2つの選択をする。
①「嘘じゃなかった、きっと事情があった」と自分を納得させるか。
②「もう信じない」と距離を置くか。
どちらにしても、クラブとサポーターの間に小さなヒビが入る。
降格争いの中で、このヒビは致命的だ。
サポーターの声援が1dB下がるだけで、選手のパフォーマンスは変わる。
これは比喩じゃない。身をもって経験した事実だ。
監督交代の2パターン——コーチ昇格と外部招聘の「光と闇」

ここからが本題。
監督が解任されたとき、後任の選び方は大きく2つに分かれる。
- パターン①:コーチ(内部)昇格
- パターン②:外部から新監督を招聘
今回のFC今治は、パターン❶を選んだ。
久保山由清ヘッドコーチが、そのまま監督に昇格した。
僕はプロ10年の中で、両方のパターンを経験している。
どっちが正解か?
正直に言う。どっちにも地獄がある。
パターン①:コーチ昇格のメリットとデメリット
| メリット・デメリット | コーチ昇格 |
|---|---|
| メリット① | チームの内部事情を完全に把握している |
| メリット② | 選手との関係性がすでにある。信頼のゼロスタートが不要 |
| メリット③ | 戦術の継続性がある。選手が混乱しにくい |
| デメリット① | 「コーチ」と「監督」では、選手との距離感がまったく違う |
| デメリット② | 前監督時代のスタメン組が「こいつの言うこと聞かなきゃいけないの?」と反発が起こりやすい |
| デメリット③ | コーチ時代の「相談役」ポジションを失う |
ここ、もう少し詳しく話す。
コーチって、選手にとっては「駆け込み寺」。
監督に言えないことをコーチに言う。
「なんで俺を使わないんですか」
って監督には聞けないけど、コーチには聞ける。
コーチは監督と選手の間に立つ「クッション」みたいな存在だ。
そのコーチが監督になると、駆け込み寺がなくなる。
選手は急に、不満のぶつけ先を失う。
しかも、コーチ時代にスタメン組と仲が良かった場合。
監督になった瞬間、その関係性が「えこひいき」に見えるようになる。
「あいつはコーチと仲良かったからスタメンなんだろ」
こういう空気が、ロッカールームに流れる。
僕も実際に経験した。
コーチが監督に昇格したとき、チームの空気が微妙に変わった。
昨日まで冗談を言い合っていた関係が、急にぎこちなくなる。
監督になった本人も苦しい。
昨日まで「監督にこう伝えておくよ」と味方だった人が、今日から「俺が決める側」になる。
役割が変わると、人間関係は壊れる。
これは心理学で「役割期待の変化」と呼ばれる現象だ。
同じ人間でも、与えられた役割が変わると、周囲の期待も態度も変わる。
部長に昇進した途端、同僚だった人たちが距離を置くのと同じ構造だ。
パターン②:外部招聘のメリットとデメリット
| 外部招聘 | |
|---|---|
| メリット① | しがらみゼロ。「全員フラットに見る」という宣言が自然にできる |
| メリット② | 電気ショック効果。新しい風で選手の意識がリセットされる |
| メリット③ | 新戦術の導入で、前体制の悪い癖を断ち切れる |
| デメリット① | 選手の特徴を理解するのに時間がかかる。降格争いに時間はない |
| デメリット② | 前監督のスタイルと真逆の戦術だと、選手がついていけない |
| デメリット③ | ポゼッション志向のチームにカウンター志向の監督が来ると、選手の反発が起きる |
外部招聘で一番怖いのは、スタイルの不一致だ。
例えば、ポゼッションサッカーをやってきたチームに、堅守カウンターの監督が来るとする。
選手は頭ではわかっている。
「今の自分たちには守ってカウンターが合ってる」と。
でも体が動かない。
2年も3年もポゼッションで育った選手は、自陣でブロックを組んで耐える戦い方に慣れていない。
——全部、体に染み込んでいないから。
頭と体のギャップ。これが一番危険だ。
心理学で言う「計画錯誤」にも近い。
「やりたいサッカーに必要な能力」と「今の選手が持っている能力」のギャップを、過小評価してしまう。
外部から来た監督は、「俺のサッカーをやれば勝てる」と信じている。
でもその「俺のサッカー」を実行するための選手がいなければ、机上の空論になる。
選手心理の違い——ロッカールームで何が起きるか

2つのパターンで、選手の反応はまったく違う。
コーチ昇格の場合:
「えっ、あの人が監督?」がまず最初の反応だ。
スタメン組は「俺たちのことわかってくれてるよな?」という甘えが出る。
サブ組は「チャンスが来た」と目の色が変わるか、
「どうせ何も変わらない」と諦めるか。二極化する。
外部招聘の場合:
全員がフラットに緊張する。良い意味でも悪い意味でも。
この不安が、一時的にチーム全体の集中力を上げる。
これがいわゆる「解任ブースト」の正体。
でもブーストは長くて3試合。
その後、新監督のやり方に合わない選手が出てくる。
合わない選手が増えると、チームはまた崩れる。
だから、どちらを選んでも「正解」はない。
あるのは「今の状況に、どちらがマシか」という消去法だけだ。
監督交代の裏側——クラブ内部で起きている「見えない構造変化」
ここからは、サポーターやメディアからは絶対に見えない部分を話す。
監督が交代するとき、チームの内部では5つの構造変化が同時に起きている。
①「序列のリセット」——全員が生存競争に入る
この3つのグループの力関係が、監督交代の瞬間にすべてひっくり返る。
スタメン組の本音は「やばい」。
表向きは「新しい監督のもとで頑張ります」と言う。
でも心の中では「俺のポジション、大丈夫か?」しか考えていない。
前の監督が自分を評価してくれていた理由が、次の監督にも通用するかわからない。
守備を頑張って使われていたDFは、攻撃的な新監督が来たら序列が下がる。
逆に、前の監督に干されていたテクニシャンは「やっと俺の時代が来た」と目の色が変わる。
これが「序列のリセット」。
僕が経験したときは、練習の空気が一変した。
肌感覚だが、紅白戦の強度が前日までの3倍になった。
みんな、必死にアピールする。
昨日までサボり気味だったベテランが、急にスプリントを繰り返す。
昨日までおとなしかった若手が、急に声を出し始める。
これ自体は悪いことじゃない。
でもこの緊張状態は長くは続かない。
3週間もすれば、新しい序列が固まって元に戻る。
②「情報の遮断」——選手は何も知らされない
監督交代のとき、選手が一番つらいのは「何が起きているか知らされないこと」だ。
GMや強化部は、解任の数日前から動いている。
後任の候補リスト、契約条件、引き継ぎ——ぜんぶ裏で進んでいる。
でも選手には何も伝わらない。
ある日突然、ロッカールームに集められる。
「監督が退任しました。明日から新しい体制でやります。」
それだけだ。
なぜ解任されたのか。次の監督はどういう方針なのか。自分たちに何が求められるのか。
何も説明されない。
僕はこれを何度も経験して思った。
会社で突然、上司が変わるのと同じだ。
でもサッカー選手の場合、上司が変わると自分のクビにも直結する。だから恐怖の度合いが違う。
この「情報の遮断」が、選手の中に不信感を生む。
降格争いの中でこの不信感が芽生えると、チームは内側から崩壊する。
③「派閥の再編」——ロッカールームの地図が変わる
どのチームにも、表には出ないけど「派閥」がある。
- 前の監督に近かったグループ
- 距離を置いていたグループ
- 中立でいたグループ
監督が交代すると、この力学がすべて組み変わる。
前の監督に近かったグループが一番きつい。
「あいつらは前の監督のお気に入りだった」というレッテルが貼られる。
本人たちは何も悪くない。与えられた環境で全力を尽くしただけだ。
でもチームの中では「前体制側の人間」として見られる。
逆に、前の監督に干されていたグループは声が大きくなる。
「ほら見ろ、やっぱり前のやり方は間違ってた」と、急に正論を言い始める。
ロッカールームの「誰が発言権を持つか」が、180度変わってしまう。
「残留する」という目的を見失いかける。
キャプテンの役割がここで試される。
派閥に関係なく、チーム全体をまとめられるキャプテンがいるかどうか。
これが監督交代後のチーム崩壊を防ぐ、最後の砦になる。
④「練習メニューの断絶」——体が混乱する
これはサポーターからは見えない、でも選手にとっては一番きつい変化かもしれない。
- 前の監督が毎日やっていた練習メニュー
- ウォーミングアップの順番
- セットプレーの決まり事
- ビルドアップのパターン
これが全部、白紙になる。
選手の体には前の監督のリズムが染みついている。
朝10時に練習開始、ウォーミングアップ15分、ロンド10分、戦術練習30分
——このルーティンが、ある日突然変わる。
新しい監督が「俺はウォーミングアップ30分やる」と言えば、選手の体内時計がずれる。
「ビルドアップはCBから」が「GKから」に変われば、体が反射的に間違ったポジションを取る。
頭ではわかっていても、体が前の監督のパターンで動いてしまう。
- コーチ昇格の場合はこの断絶が比較的小さい。
練習メニューの骨格を共有しているから。
降格争いの中で、この「体の再プログラミング」にかかる時間が命取りになることがある。
⑤「フロントとの関係」——監督は板挟みになる
最後に、これは選手からも見えにくい構造だけど、めちゃくちゃ重要な話だ。
新監督は、フロント(GM・社長・オーナー)との関係構築も同時にやらなきゃいけない。
コーチ昇格の場合、久保山監督のようにすでにフロントとの関係がある。
でも「コーチの久保山」と「監督の久保山」では、求められるものが違う。
コーチ時代は「意見を言う人」でよかった。
監督になったら「決断する人」にならなきゃいけない。
例えば、フロントが「この選手を使ってほしい」と言ってきたとき。
コーチなら「監督に伝えます」で済んだ。
監督なら、NOと言わなきゃいけない場面がある。
フロントにNOを言った瞬間、味方が一人減る。
でもNOを言えなければ、チームが壊れる。
この板挟みが、監督という職業の本質だ。
サッカーの世界だけじゃない。
会社で課長から部長に昇進した人が、現場の声と経営陣の方針の間で潰れるのと同じ構造。
僕はプレイヤーの立場だったから、監督の苦しみを直接は知らない。
でも何人もの監督が、目に見えて疲弊していくのを見てきた。
就任時にはエネルギーに満ちていた人が、数ヶ月後には別人のように痩せていた。
監督交代というのは、こういう構造変化が一気に押し寄せる出来事だ。
ピッチ上の戦術変更は、氷山の一角にすぎない。
水面下では、
- 序列の崩壊
- 情報の遮断
- 派閥の再編
- 練習の断絶
- フロントとの板挟み
——5つの構造変化が同時進行している。
FC今治の久保山新監督は、今まさにこの5つと戦っている。
FC今治がコーチ昇格を選んだ理由——そしてそれは「唯一の手」

なぜFC今治は外部招聘ではなく、久保山コーチの昇格を選んだのか。
答えはシンプルだ。時間がなかった。
J2リーグの第7節で最下位。残り31試合。
外部から監督を連れてくる時間的余裕はない。
しかも、モウレロ監督はスペイン人。
通訳を介したコミュニケーション、日本のJ2の戦い方への適応
——3ヶ月で結果を出すにはハードルが高すぎた。
太田康介GMは「目標達成に向けて巻き返すため」とコメントしている。
言い換えれば、「これ以上実験している余裕はない」ということだ。
久保山コーチは2024年からFC今治のヘッドコーチを務めている。
チームのことは誰よりも知っている。選手の特徴も、クラブの文化も。
消去法としては、最善手。
でも、さっき話した「光と闇」を忘れてはいけない。
久保山監督の「本来のFC今治のサッカー」を読み解く

久保山新監督の就任コメントを見てほしい。
「今治らしく攻守においてアグレッシブに、そしてハードワークするサッカー。ボールを奪い、スピーディにゴールへ向かっていく姿勢です。」
(出典:FC今治公式サイト)
このコメントには、明確なメッセージが込められている。
「ポゼッションサッカーはやらない」と、遠回しに宣言している。
「ボールを奪い、スピーディにゴールへ向かう」。
これはカウンター志向の言語化だ。
「攻守においてアグレッシブに、ハードワーク」。
これは走力とプレス強度の要求だ。
つまり久保山監督が描いているのは、モウレロ時代の「ボールを持って崩す」サッカーとは真逆のスタイル。
そしてここが重要だ。
——データがその方向性を支持している。
もう一度、鳥栖戦のデータを見てほしい。
| 指標 | 鳥栖戦(唯一の勝利) | 6試合平均 |
|---|---|---|
| ポゼッション | 49.3% | 51.5% |
| シュート数 | 8本 | 12.7本 |
| チャンス構築率 | 7.6% | 11.3% |
| シュート成功率 | 12.5% | 6.5% |
| 奪取ポイント | 86.02 | 74.98 |
シュート数もチャンス構築率もシーズン最低。
でもシュート成功率はシーズン最高。
そして奪取ポイントも平均を大きく上回っている。
つまり、少ないチャンスを確実に仕留め、守備でハードワークした試合だけが勝利につながった。
久保山監督の「本来のFC今治のサッカー」は、データが唯一の正解だと証明しているスタイルになる。
ただし、ここに落とし穴がある。
「本来のサッカーを取り戻す」という言葉は、聞こえはいい。
でも選手たちは3ヶ月間、モウレロのポゼッションサッカーに適応しようとしてきた。
頭と体を、もう一度切り替えなきゃいけない。
しかもそれを指示するのは、昨日までヘッドコーチだった人間だ。
心理学で「デフォルト効果」という概念がある。
人は、慣れた行動パターンに戻ろうとする。
モウレロ時代のポゼッション習慣が体に染みついている選手ほど、切り替えに時間がかかる。
久保山監督が最初の数試合で結果を出せるかどうか。
それは「正しいサッカー」ができるかどうかよりも、
「選手の頭と体のスイッチをどれだけ早く切り替えられるか」にかかっている。
久保山体制でFC今治が生き残るための3つの条件
辛口考察だけで終わるつもりはない。
僕なりに、久保山体制が生き残るための条件を3つ挙げる。
条件①:鳥栖戦のサッカーをベースにする
データが証明している通り、今の選手で勝てるサッカーは明確だ。
ポゼッション49%台、シュート8本、でも1本をきっちり決める。
奪取ポイントを上げて、守備からリズムを作る。
きれいなサッカーじゃない。泥臭い。
でもJ2で残留するために必要なのは、美しさじゃない。勝ち点3だ。
「ボールを持てば持つほど負ける」というデータがある以上、持たなくていい。
奪って、縦に速く、シンプルにゴールを目指す。
条件②:「駆け込み寺」の代わりを作る
さっき話した通り、コーチ昇格の最大のリスクは「駆け込み寺の消滅」だ。
久保山監督がやるべきことは、自分の代わりに選手の不満を吸収できる人間を早急に見つけること。
コーチングスタッフの中から、「選手との橋渡し役」を明確に設定する。
これをやらないと、選手の不満がロッカールームに溜まる。
溜まった不満は、ピッチ上の連携ミスとして表れる。
パスがずれる。声が出ない。カバーリングが遅れる。
チームが崩壊するのは、いつも戦術の問題じゃない。人間関係の問題だ。
条件③:最初の3試合で「解任ブースト」を勝ち点に変える
監督交代直後は、選手の意識が一時的にリセットされる。
これが「解任ブースト」
でもブーストの効果は長くて3試合だ。
久保山監督の最初の3試合は、
- 第8節・湘南(H)
- 第9節・栃木C(A)
- 第10節・徳島(A)
ホームの湘南戦が勝負。ここで勝ち点3を取れるかどうかで、チームの空気が決まる。
逆に3試合で勝ち点0なら、「やっぱりコーチ昇格じゃダメだった」という空気がチーム内に広がる。
そうなったら、さらに立て直しが難しくなる。
久保山由清という人間——横浜フリューゲルスの記憶
最後に、久保山監督の人間性に触れておきたい。
久保山由清。1976年生まれ、50歳。静岡県出身。元FW。
この人には、サッカーファンなら知っておくべきエピソードがある。
1998年、横浜フリューゲルスがクラブ消滅した年。
天皇杯決勝、清水エスパルス戦。久保山はゴールを決めた。
クラブが消える最後の試合で、ゴールを決めた男。
その後、清水エスパルスに移籍して年間12得点。
Jリーグアウォーズ優秀選手賞を受賞。
チームを失った経験がある人間は、強い。
「なくなるかもしれない」という恐怖を知っている人間は、しがみつく力が違う。
僕も契約満了を何度も経験したからわかる。
「明日がない」と思った瞬間、人間は本気になる。
久保山監督がFC今治で見せるサッカーは、おそらく「きれい」ではない。
でも「本気」のサッカーになると思う。
まとめ——FC今治の監督解任から学ぶこと
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 「体調不良」の真相 | 事実上の解任。3ヶ月での見切りは異例の早さ |
| モウレロ体制の問題 | ポゼッション志向が選手の質と不一致。持てば持つほど負けた |
| コーチ昇格のメリット | 選手理解・即効性・チームの連続性 |
| コーチ昇格のリスク | 戦術の幅・求心力・失敗時の後任不在 |
| 鳥栖戦の教訓 | ポゼッション49.3%で唯一の勝利。「持たないサッカー」に活路 |
| 久保山体制の条件 | 守備の安定×選手の信頼×早期の結果。3つ揃わなければ降格 |
泥臭くていい。きれいじゃなくていい。
ボールを奪え。縦に走れ。シュートを打て。
1本のゴールに魂を込めろ。
それがJ2で生き残るサッカーだと、データが示している。
久保山監督は、クラブが消えた経験を持つ男だ。
「なくなる怖さ」を知っている人間が、FC今治を率いる。
でも、ここからだ。
久保山監督が次の試合でどんなサッカーを見せるか。
鳥栖戦のような泥臭いサッカーで、勝ち点3を奪えるか。
それを見届けたい。
僕はFC今治の次の試合を、「奪取ポイント」と「シュート成功率」に注目して見る。
この2つの数字が鳥栖戦以上なら、久保山体制は機能し始めている証拠だ。
あなたも、次の試合はこの2つの数字をチェックしてみてほしい。
見え方が、変わるはずだ。
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FC今治はなぜ勝てないのか?データが証明する「ポゼッションの罠」
※データ出典:Football LAB、FC今治公式サイト、サッカーキング、ゲキサカ



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