プロサッカー選手として10年間やってきて、一つだけ確信していることがある。
自分を信頼しないと、食い物にされる。
これは綺麗事じゃない。
俺が実際に経験して、痛い目を見て、やっとたどり着いた結論だ。
監督に好かれたい。その気持ちはわかる

プロの世界には、いろんな人がいる。
監督、コーチ、トレーナー、先輩選手。
この中で、本当に自分のことを考えてくれる人が何人いるだろうか。
正直に言う。ほとんどいない。
いや、正確に言えば「いない」んじゃなく、
「常にそうでいられる人がいない」というのが正しい。
プロの世界では、多くの選手が監督に好かれたいと思っている。
監督が要求するプレーをしたい。
言われた通りにやれば試合に出してもらえる。
評価してもらえる。
この心理は、会社員の世界とまったく同じだ。
社長や部長に好かれたい。
上司の期待に応えたい。
評価されてより良いポジションにつきたい。
気持ちはわかる。俺もそうだった。
でも、この「誰かに認められたい」という気持ちだけで動いていると、
いつか食い物にされる。
みんな、自分が一番かわいい

究極の世界で生きてきてわかったことがある。
どんな人でも、自分が一番かわいい。
これは悪口で言っているんじゃない。
人間の本質だと思っている。
どんなにすごく見える人でも、尊敬できる人でも、
自分にゆとりがなくなった瞬間、周りを救う余裕なんてなくなる。
わかりやすい例がある。
人命救助だ。
溺れている人を助ける時、まず自分がしっかり呼吸できていないと助けられない。
自分が酸素を吸って、冷静で、余裕がある状態じゃないと、助けに行った自分まで溺れる。
これは当たり前のことだ。誰もが知っている。
でも、この当たり前のことが、
サッカーの世界でも会社の世界でも、そのまま起きている。
監督だって、自分の立場が危うくなれば選手を切る。
コーチだって、自分の評価を守るために動く。
先輩だって、自分のポジションが脅かされれば後輩に冷たくなる。
みんな、まず自分の酸素を確保する。それが人間だ。
誰かに助けを求めるだけの人間は、搾取される

これはサッカーの世界でよくあることだ。
自分で考えずに、言われたことだけをやる選手がいる。
監督の指示に従い、コーチのアドバイスを素直に聞き、先輩の言う通りに動く。
一見、素直で真面目で
伸びしろのある選手に見える。
でもこういう選手は、使われるだけ使われて、必要なくなったら切られる。
なぜか。自分の軸がないからだ。
相手の要求に応え続けるだけの人間は、相手にとって都合のいい存在でしかない。
そして都合が悪くなれば、真っ先に切られる。
「FWは全力で守備しろ」の本当の意味

俺はFWだった。
現役時代、よく言われた言葉がある。
「FWでも全力で守備をしないと、上へは行けない」
この言葉を聞いた時、素直にそうだと思った。
チームのために走る。
守備もサボらない。
それがプロとして当然だと。
でも今だからわかる。
あの言葉の裏には、監督自身の思惑があった。
監督は失点を減らしたい。
自分のチームが勝つ確率を上げたい。
だからFWにも守備を要求する。
それは監督にとっての最適解であって、FWにとっての最適解とは限らない。
FWの一番大事な仕事は、点を取ることだ。
これは不変の真理だ。
3失点しても4点決められるFWがいたら、そいつを使う。
実際にJリーグでも、守備はそこまでしなくても、
得点力が圧倒的な選手はスタメンで使われ続けている。
しかもそういう選手が少し守備をしようものなら、「あいつは守備もできる」と評価がさらに上がる。
つまり、自分の最大の武器を持っている選手は、少しのプラスアルファで評価が跳ね上がる。
でも武器がない選手が守備だけ頑張っても、「便利な選手」で終わる。
監督の要求に全部応えることが正解じゃない。
自分の価値がどこにあるかを理解した上で、
何に力を注ぐかを自分で決める。これが大事だった。
でも、チームを否定したいわけじゃない

ここまで書くと、「じゃあ自分勝手にやればいいのか」と思うかもしれない。
違う。
チームが勝って優勝すれば、自分の価値も上がる。
チームの成功が、個人の評価を引き上げてくれることは間違いなくある。
だから俺は、チームプレーを否定しているわけじゃない。
大事なのは、自分の頭で考えることだ。
監督の要求をすべて鵜呑みにするんじゃなく、「この要求の裏に何があるか」を考える。
そして、チームへの貢献と自分の価値を上げることの、ちょうどいいバランスを自分で見つける。
言われたことをやるだけじゃ、食い物にされる。
かといって自分勝手にやれば、チームから干される。
このバランスを自分の頭で考えて、自分で決める。
それができる選手だけが、長く生き残れる世界だった。
サッカーだけの話じゃない

これはサッカーに限った話じゃない。
会社員でも同じだ。
上司の言うことを全部聞いて、要求に全部応えて、便利な存在になる。
一見、評価されているように見える。
でもその評価は「使いやすい」という評価であって、
「この人がいないと困る」という評価じゃない。
リストラの時、真っ先に切られるのは「使いやすかっただけの人」だ。
自分の価値を持っている人間は、簡単には切られない。
副業でもブログでも同じだ。
「こうすれば稼げます」という他人のノウハウを鵜呑みにして動いても、うまくいかない。
なぜなら、そのノウハウはその人の状況に最適化されたものであって、自分に合っているとは限らないからだ。
自分の頭で考える。
自分の状況を理解する。
その上で、自分にとっての最適解を見つける。
最後に
自分を信頼するというのは、自分勝手に生きるということじゃない。
周りの声を聞いた上で、最後は自分で判断するということだ。
監督の言葉の裏を読め。上司の要求の本質を見抜け。
「この人は本当に俺のために言ってくれているのか、それとも自分のためなのか」を考えろ。
そして、自分の価値を上げることから逃げるな。むしろ向かっていけ。
みんな自分が一番かわいい。
それは悪いことじゃない。
俺だって自分が一番かわいい。
だからこそ、自分で自分を守れるだけの力をつける。
自分の頭で考えて、自分で判断して、自分の価値を自分で上げていく。
誰かに依存した瞬間、食い物にされるリスクが生まれる。
自分を信じろ。自分の頭で考えろ。そして、動け。
俺はサッカーの世界で、それを骨の髄まで叩き込まれた。


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