熊に遭ったら、どうする?
「全力で逃げる」
そう思った人、多いと思う。
でも実はこれ、一番やっちゃいけないことらしい。
熊は逃げるものを追いかける習性がある。背中を見せた瞬間、追いかけてくる。時速50キロで。
人間が勝てるわけがない。
じゃあどうするか。
逃げずに、その場にとどまる。
目をそらさず、ゆっくり後退する。慌てない。走らない。
これ、投資の暴落とまったく同じだと思った。
俺が300万円を失った日の話
正直に言う。
俺は投資詐欺に遭って、300万円を失っている。
コロナ禍のことだった。「スカイプレミアム」という会員制のサービスに入り、そこから「ライオンプレミアム」というFX投資商品を紹介された。
「年利20〜30%」「10年近い運用実績」「いつでも出金可能」
今思えば、おかしな点はいくつもあった。
本来なら自分の証券口座に入れて運用するのに、「ライオン」という運用会社の口座に直接振り込むように言われた。
他人名義の口座にお金を振り込む。
これは要するに、お金の権利を相手に渡す行為だ。
さらに「エージェント」と呼ばれる紹介者に手数料が入る仕組み。500人以上のエージェントがいた。
紹介する側の動機は「あなたの資産を増やすこと」じゃない。「あなたにお金を出させること」だ。
実際にはFX運用すらされていなかった。
ポンジスキーム。被害総額1350億円。被害者約26,000人。
俺はその26,000人のうちの1人だった。
詐欺師より腹が立ったのは「無知な自分」
詐欺師には心底むかつく。
連絡は取れなくなり、「自分も被害者だ」と言い張る相手。
でも、それ以上に腹が立ったのは自分自身だった。
おかしな点はあった。冷静に考えれば気づけた。
年利20〜30%? ありえない。
他人の口座に振り込む? 普通じゃない。
でも、当時の俺にはそれを判断する知識がなかった。
サッカーしかしてこなかった。お金の勉強なんてしたことがなかった。
無知な自分に、一番腹が立った。
裁判をしても返ってこない。
だったら、この経験を自分の血肉に変えるしかない。
そう決めた。
コロナショックで市場から「逃げなかった」理由
投資詐欺で300万円を失ったあと、俺は「今度こそ自分で学ぶ」と決めた。
『敗者のゲーム』『金持ち父さん貧乏父さん』『3000円投資生活』。
本を読み漁った。
そしてインデックス投資を始めた。
すると間もなく、コロナショックが来た。
2020年3月。世界中の株価が一気に叩き落とされた。
自分の資産が目に見えて減っていく。毎日のように赤い数字が並ぶ。
あの時、正直怖かった。
「また失うのか」「やっぱり投資なんてやめた方がいいのか」
頭の中で、そんな声がぐるぐる回っていた。
でも、逃げなかった。
本で学んだことが頭にあったからだ。
「暴落で売る人間が一番損をする」
チャールズ・エリスは『敗者のゲーム』の中でこう言っている。
「投資で最も重要なのは、市場に居続けることだ」と。
市場から退場した人間は、その後の回復に乗れない。
暴落で売って、回復してから買い戻す。
これができる人間はプロでもほとんどいない。
だから俺は売らなかった。積立も止めなかった。
結果的に、コロナショック後の回復局面で資産は大きく増えた。
熊に遭った時と同じだ。逃げなかったから、生き残れた。
トランプ関税ショックでも「同じことをした」
2025年、今度はトランプ関税ショックが来た。
また市場が揺れた。SNSでは「もう終わりだ」「全部売った」という声があふれた。
でも俺は、コロナの時と同じことをした。
売らない。止めない。淡々と積み立てる。
2回目だから、さすがに少し慣れていた。
「あ、また来たな」くらいの感覚だった。
これは、一度暴落を経験して「逃げずに生き残った」実績があるからこそ持てる感覚だと思う。
心理学に「自己効力感」という考え方がある。
「自分はこの状況を乗り越えられる」という確信のことだ。
一度暴落を乗り越えた人間は、次の暴落でパニックになりにくい。
最初の暴落が一番怖い。でも、そこで逃げなければ、次はもっと楽になる。
熊も同じだと思う。
一度遭遇して生き残った人間は、二度目はもう少し冷静でいられるはずだ。
熊スプレー=生活防衛資金という話
熊に遭った時、最も有効な対策のひとつが「熊スプレー」だと言われている。
事前に準備しておくもの。遭遇してから慌てて買いに行くものじゃない。
投資における熊スプレーは、生活防衛資金だ。
生活費の3〜6ヶ月分を、すぐ引き出せる現金で持っておく。
これがあるだけで、暴落時の心の余裕がまったく違う。
「最悪、投資が全部ゼロになっても、半年は生きていける」
この安心感が、パニック売りを防いでくれる。
逆に生活防衛資金がない状態で投資をしている人は、暴落が来た瞬間に「生活費が足りなくなる」という恐怖に襲われる。
結果、底値で売ってしまう。
一番損するパターンだ。
投資を始める前に、まず生活防衛資金を貯める。
これは投資の「鉄則」だと俺は思っている。
熊に遭う前に、熊スプレーを買っておく。
順番を間違えたら、助からない。
暴落は「バーゲンセール」だと気づいた
行動経済学に「損失回避バイアス」という考え方がある。
人は同じ金額でも、「得する喜び」より「失う痛み」の方を2倍以上強く感じるらしい。
だから暴落が来ると、冷静な判断ができなくなる。
「これ以上失いたくない」という感情が、すべてを支配する。
でも、冷静に考えてほしい。
暴落って、要するにバーゲンセールだ。
昨日まで100円だったものが、今日は70円で買える。
普段の買い物なら、喜んで飛びつくはずだ。
でも投資になると、なぜか逆のことをする。
安くなったら売る。高くなったら買う。
これは、損失回避バイアスに支配されている状態だ。
俺はコロナショックの時、暴落の底で積み立てを続けた。
結果的に、安い時にたくさん買えた。
回復した時、その分だけリターンが大きくなった。
暴落はチャンスだ。
ただし、それが言えるのは生活防衛資金がある人間だけだ。
余裕がない人間にとって、暴落はただの地獄でしかない。
だから順番が大事なんだ。
複利の力は「市場にいた人間」にしか効かない
アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだとされる複利。
たとえば年利5%で100万円を運用すると、30年後には約432万円になる。
元本の4倍以上だ。
でもこの複利の恩恵を受けられるのは、30年間ずっと市場にいた人間だけだ。
途中で暴落に怯えて売って、また買い直して、また売って。
そうやって出入りを繰り返すと、複利の力は激減する。
市場に居続けることが、複利を味方につける唯一の方法だ。
サッカーで言えば、ピッチに立ち続けることと同じだ。
俺はプロサッカー選手として約10年間やった。平均引退年齢26歳の世界で。
途中で契約満了を告げられたこともある。怪我で動けない時期もあった。監督に干されたこともある。
それでも辞めなかった。ピッチに立ち続けた。
立ち続けたから、チャンスが回ってきた時に掴めた。
投資も同じだ。
市場にいなければ、チャンスは掴めない。
「自分で学ぶ」ことだけが身を守る
俺が投資詐欺で300万円を失って、一番強く思ったこと。
「他人任せにしたら食い物にされる」
これはサッカーの世界でも同じだった。
監督、コーチ、トレーナー、先輩。
みんな、自分が一番かわいい。余裕がなくなれば、周りを救えない。
誰かに「この投資商品がいいよ」と言われて、そのまま信じる。
誰かに「これを買えば儲かるよ」と言われて、自分で調べもしない。
それは、溺れている人に「助けて」と叫んでいるのと同じだ。
助けに来た人間が、本当にあなたのことを考えているとは限らない。
自分の頭で考えること。自分で学ぶこと。
これだけが、自分の身を守る方法だ。
俺はWebマーケティングの会社で働いた経験がある。
便通改善・痩身サプリの広告を作っていた会社だ。
「買う側の心理に乗り込め」が合言葉だった。
仮想敵を作る。「あなたが痩せないのは、あなたのせいじゃない」と言う。
そしてサプリが「正義のヒーロー」として登場する。
人は買ってしまう。
投資の世界も同じ構造だ。
「あなたは忙しいから、プロに任せましょう」
「この商品なら放っておくだけで増えます」
楽な言葉には、必ず裏がある。
自分で学ぶのは面倒だ。時間もかかる。
でも、面倒なことをやった人間だけが、食い物にされずに済む。
あなたは暴落が来たら、どうする?
ここまで読んでくれたあなたに聞きたい。
次に暴落が来たら、あなたはどうする?
パニックで売る?
SNSの「もう終わりだ」に流される?
それとも、熊に遭った時のように、その場にとどまる?
答えは、今のうちに決めておくことだ。
暴落が来てから考えるのでは遅い。
熊に遭ってから「どうしよう」と考えるのでは遅い。
事前に準備しておく。
生活防衛資金を貯める。
自分のリスク許容度を知る。
「暴落が来ても売らない」と、今の冷静な状態で決めておく。
それが、投資における「熊スプレー」だ。
まとめ:逃げるな。備えろ。市場に立ち続けろ。
俺は300万円の投資詐欺を経験した。
コロナショックもトランプ関税ショックも経験した。
そのすべてから学んだことは、シンプルだ。
逃げたら負ける。
熊に遭った時と同じだ。
背中を見せた瞬間、追いかけてくる。
投資も同じだ。
暴落で売った瞬間、回復のチャンスを失う。
じゃあ、どうすればいいか。
- 生活防衛資金を先に貯める(生活費3〜6ヶ月分)
- 暴落が来ても売らないと決めておく
- 自分で学び続ける(他人任せにしない)
- 市場に居続ける(複利の力を味方にする)
これだけだ。
難しいことじゃない。
でも、ほとんどの人ができない。
感情に負けるからだ。
だから俺はこの記事を書いた。
暴落が来た時、この記事を思い出してほしい。
熊に遭ったら、逃げるな。
ゆっくり、その場にとどまれ。
それが、投資で生き残る唯一の方法だと俺は思う。
おすすめの本
暴落に負けない投資の考え方を学ぶなら、この一冊は外せない。
「市場に居続けること」の大切さを、データと論理で教えてくれる名著だ。
俺は投資詐欺で300万失ったあとにこの本を読んで、投資との向き合い方が根本から変わった。
備えあれば憂いなし
これはガチで山に入る人向け。投資の話じゃないけど、備えの大切さは同じ。
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