セレクションに落ちても気にするな。選考の「裏側」は忖度まみれだ。

サッカー上達

この時期になると、保護者の方からよく聞かれる。

  • 「セレクション、どうやったら受かりますか?」
  • 「うちの子、落ちたんですけど……やっぱり実力が足りなかったんですかね」

指導者として、こういう質問を何度ももらってきた。

声を大にして言わしてほしい。

セレクションに落ちたからって、気にしなくていい。マジで。

これは慰めじゃない。

実際にJクラブのジュニアユースセレクションの担当をした経験から、はっきり言える。


セレクションの「裏側」——6割はもう決まっている

いきなり身もふたもない話をする。

経験値として、Jクラブのジュニアユースセレクション。

そのほかにも、数多くのセレクションに立ち会ってきた。

だからこそ断言できる。

ふたを開けると、欲しい選手の6割はすでに声をかけている。

残りの4割をセレクションから引っ張ろうという話になるんだけど、その4割の中にも「受かるかわからないけど、一応受けてほしい」と事前に声をかけている子が何人かいる。

つまり、本当にまっさらな状態から実力だけでこじ開ける枠は、かなり狭い。

もちろん、稀にノーマークの選手がめちゃくちゃよくて、満場一致で決まることもある。

でも、大体は「この選手を目星にして見ておこう」という下地がある。

これを聞いて「ずるい」と思うかもしれない。

でも、これはずるいんじゃなくて、構造の話だ。


なぜフラットに見られないのか——指導者も人間だから

心理学に「確証バイアス」という考え方がある。

自分がすでに持っている信念や仮説を裏付ける情報ばかり目に入ってしまう現象だ。

セレクションの現場でも、これが起きている。

事前にスカウトから「あの子いいよ」と聞いていれば、セレクション当日もその子のプレーに目がいく。いいプレーが目に入りやすくなる。

逆に、まったく情報がない子は、よほど光るものがないと埋もれてしまう。

人数が多いセレクションだと、全員を平等に見るのは物理的にむずかしい。

遠くから俯瞰でぼやっと見たとき、
「おっ、なんか光るもんあるな」と思う子に目がいく。

しかし、どうしてもボールを持てる選手に目がいきがちになってしまう。

内気な子、おとなしい子は、
セレクションという短い時間では自分をアピールしにくい。

これは指導者が悪いんじゃない。人間の認知の限界も関係している。


1日のセレクションで何を見ているのか

じゃあ、たった1日のセレクションで何を見ているのか。

正直に言うと、「この選手がチームに合うかどうか」を見ている。

実力だけじゃない。

  • その指導者にとって教えやすいか。
  • チームのスタイルに合うか。

要するに好みに偏る。

シュートゲームとかの個別練習では上手く見えても、
試合形式のゲームになると印象がまったく変わる選手がけっこういる。

逆もある。練習では目立たなかったのに、ゲームになった瞬間に輝く子。

1日で選手の本質を見抜くのは、はっきり言って無理だ。

それでも決めなきゃいけないから、最終的には指導者の「好み」が入る。

セレクションは実力テストじゃない。マッチングだ。

だから落ちたからって、あなたの子どもの実力が否定されたわけじゃない。

これをまずは知ってほしい。


判断力と技術——迷ったときに何で決まるか

セレクションの選考会議で、よく話題に出るのが「判断」の部分だ。

技術があっても、判断がともなっていない選手。

技術がめちゃくちゃ尖っていたら、「入れようか」となる。

でも、技術が平均的で判断も悪いと、
どうしても取るときに渋ってしまう声が出る。

じゃあ中学年代のジュニアユースで、最後の最後に何で決めるか。

フィジカルの数値だ。

具体的には、30m走と20mターンダッシュ。

この2つで秒数を測って、フィジカルのポテンシャルを見る。

技術と判断で迷ったとき、最後に背中を押すのがフィジカルの数値。

これが裏側のリアルだ。


俺自身がセレクションの「外側」にいた人間だから

俺がプロになったとき、スカウトなんて一切なかった。

知り合いのツテを頼って、自分からJクラブに練習参加を申し込んだ。

いわば「営業」だ。

3つのクラブに練習参加して、
わずか1週間で自分を覚えてもらうための戦略を立てた。

俺の良さは「スルメイカ」みたいなもので、すぐにはわからない。

噛めば噛むほど味が出るタイプだと思っている。

だからこそ、まず人として知ってもらうことを最優先にした。

サッカーだけじゃなく、一発芸もやった。
チームに馴染んで、「あいつ面白いな」と思ってもらうことから始めた。

結果、1チームが興味を持ってくれて、公式戦まで見に来てくれるようになった。

12月末にギリギリで内定が決まった。

セレクションに受からなくても、道はある。

大事なのは「選ばれなかった」という事実に打ちのめされることじゃなくて、自分の価値をどうやって届けるかを考えることだ。


保護者の皆さんに伝えたいこと——今やるべきは一つだけ

心理学に「自己効力感」という考え方がある。

「自分にはできる」と信じられる感覚のこと。

  • セレクションに落ちた子どもに必要なのは、「次はこうしよう」というアドバイスじゃない。
  • 「お前の力はそこで終わりじゃない」と、信じてやることだ。

セレクションの裏側を知れば、
落ちた理由が実力不足だけじゃないことがわかる。

  • 指導者の好み
  • 事前のスカウティング
  • 当日のポジション配置
  • チームとの相性

——自分ではどうしようもない要素がたくさんある。

だからこそ、親がやるべきことはシンプルだ。

子どもの足元の技術を、とことん伸ばす環境を作ること。

小学校の時期は、個人技術を伸ばす年代だ。

セレクションに受かるために練習するんじゃない。

自分のサッカーの土台を作るために練習する。

その土台がしっかりしていれば、ユース年代で戦術を落とし込むときに、監督が求めるプレーを体現できる選手になれる。

基礎技術がない子は、どんなにいい環境に行っても、監督の要求を形にできない。

逆に、技術がしっかりしていれば、どんなチームに行っても自分の武器を発揮できる。


セレクションの結果は、サッカー人生の「途中経過」にすぎない

中学、高校になると、セレクションはほとんどスカウトの声かけに変わる。

プロになるのも同じだ。

だからこそ、小学校のセレクションに一喜一憂する必要はない。

俺自身、誰にも声をかけられなかった。スカウトなんてゼロだった。

それでも、自分の足で動いて、自分の頭で考えて、プロになった。

セレクションに落ちたことは、サッカー人生の終わりじゃない。

途中経過にすぎない。

裏側を知った上で、今日も自分の技術を磨いてほしい。

その積み重ねが、いつか必ず誰かの目に留まる日が来る。

あなたの参考になればうれしい。

セレクションは評価される場ではない。

マッチングの場だ。

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