RB大宮アルディージャは、26/27シーズンJ2でワクワクするサッカーをしている。
xG(ゴール期待値)リーグ3位。シュート数3位。チャンス構築率3位。ショートカウンターからのシュート率25.1%。中央突破のシュート率35.3%。
これだけの攻撃データを叩き出しているチームは、J2で少ない。
元プロの僕が、Football LABのデータをもとに、RB大宮の「攻撃の破壊力」がどれほどのものなのか、そしてこのチームが持つポテンシャルの大きさを考察する。
この記事を読めばわかること:
- RB大宮の攻撃力がJ2トップクラスである5つのデータ根拠
- ゲーゲンプレスが「ハマった試合」で見せた圧倒的な破壊力
- このチームが持つ「J1で通用する可能性」の根拠
この記事を読めば、RB大宮の試合を見る目が変わる。
「結果だけ」で語られがちなこのチームの本質が、データで見えてくる。
RB大宮の攻撃指標はJ2屈指|データが示す5つの証拠

まず、数字を並べたい。これがRB大宮の攻撃データになる。
| 指標 | 数値 | J2順位 |
|---|---|---|
| xG(ゴール期待値) | 1.664 | 3位 |
| 実ゴール | 1.77/試合 | 2位 |
| シュート数 | 16.5本/試合 | 3位 |
| チャンス構築率 | 13.6% | 3位 |
| シュート成功率 | 10.8% | 5位 |
データ出典:Football LAB(2026.10.27 update)
xGリーグ3位は、「偶然の得点」ではなく「必然の得点」を積み上げていることを意味する。
実ゴール1.77/試合はリーグ2位。
xGとの差分+0.106は、個の力で期待値以上に決め切っていることが読み取れる。
攻撃の「量」も「質」もJ2のトップ3に入っている。
僕がプロ時代に対戦した中で、「嫌だな」と思うチームは決まっていた。
守備側にとって最も怖いのは、波状攻撃でシュートを浴びせ続けてくるチームだ。
今のRB大宮は、まさにそういうチームになる。
全13試合成績|得点23はリーグ2位タイの攻撃力
| 節 | 日付 | 対戦相手 | スコア | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 8/8 | 新潟 | 1-0 | ○ |
| 2 | 8/15 | 今治 | 3-2 | ○ |
| 3 | 8/22 | 札幌 | 4-1 | ○ |
| 4 | 8/29 | 湘南 | 2-2 | △ |
| 5 | 9/6 | 秋田 | 0-0 | △ |
| 6 | 9/12 | 大分 | 0-0 | △ |
| 7 | 9/19 | 藤枝 | 1-1 | △ |
| 8 | 9/26 | 甲府 | 5-1 | ○ |
| 9 | 10/4 | 宮崎 | 1-1 | △ |
| 10 | 10/10 | 八戸 | 3-1 | ○ |
| 11 | 10/17 | 鳥栖 | 1-2 | ● |
| 12 | 10/21 | 富山 | 0-3 | ● |
| 13 | 10/24 | 横浜FC | 2-2 | △ |
データ出典:Football LAB(2026.10.27 update)
13試合で23得点。1試合平均1.77点はリーグ2位タイ。
注目してほしいのは、「ゲーゲンプレスがハマった試合」の破壊力だ。
ゲーゲンプレスが機能したとき、大宮は対戦相手を圧倒する力を持っている。
5勝のうち4試合で3得点以上。 勝つときは複数得点で勝つ特徴がある。
これはレッドブルのスタイルが「ハマったとき」の威力を示している。
| 順位 | チーム | 勝点 | 勝 | 分 | 敗 | 得点 | 失点 | 得失差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 仙台 | 27 | 8 | 3 | 2 | 22 | 11 | +11 |
| 2 | 新潟 | 26 | 8 | 2 | 3 | 19 | 21 | -2 |
| 3 | 富山 | 22 | 6 | 4 | 3 | 23 | 12 | +11 |
| 4 | 横浜FC | 22 | 6 | 4 | 3 | 25 | 16 | +9 |
| 5 | 湘南 | 22 | 5 | 7 | 1 | 15 | 12 | +3 |
| 6 | 大宮 | 21 | 5 | 6 | 2 | 23 | 16 | +7 |
データ出典:Football LAB
6位で首位仙台から6ポイント差。上位との差は確かにある。
しかし得点23は首位仙台(22)を上回り、3位富山(23)と同数。
攻撃力だけなら、大宮はすでにJ2トップレベルだ。
ゲーゲンプレスの破壊力|ショートカウンター×中央突破

大宮の最大の武器は何か。データが明確に答えを出している。
チームスタイル指標
| スタイル | 指数 | シュート率 |
|---|---|---|
| ショートカウンター | 59 | 25.1% |
| ロングカウンター | 51 | 19.1% |
| 敵陣ポゼッション | 56 | 20.0% |
| 自陣ポゼッション | 55 | 8.7% |
| 攻撃セットプレー | 59 | 28.7%(6位) |
| 中央攻撃 | 64 | 35.3% |
| 左サイド攻撃 | 67 | 13.9% |
| 右サイド攻撃 | 54 | 16.7% |
データ出典:Football LAB(2026.10.27 update)
ショートカウンターからのシュート率25.1%。
これがレッドブルのゲーゲンプレスの核心部分だ。
前線から猛烈にプレスをかけてボールを奪い、ショートカウンターでシュートまで持ち込む。
4回に1回はシュートで終わる攻撃。これは相当な数字だ。
さらに注目すべきは 中央攻撃のシュート率35.3% 。
これは全スタイルの中でダントツに高い。
中央からの崩しが、大宮にとって最もゴールに近いルートであることをデータが証明している。
心理学に「フロー状態」という概念がある。
人間が最もパフォーマンスを発揮するのは、適度な難易度のタスクに集中しているときだ。
大宮のゲーゲンプレスは、「奪って→即攻撃→中央突破」というシンプルで明確なタスクを選手に与えている。
現役時代、ゲーゲンプレスが機能するチームと対戦したことがある。
あの圧力は本当にきつい。
ボールを奪われた瞬間に3人、4人が一気に寄せてくる。
考える時間がない。判断が0.5秒遅れるだけで奪われる。
FWの僕ですら、最終ラインまで戻って守備をする必要があった。
今の大宮は、それをJ2で実践している。
攻撃の中心を担う「3人のキーマン」

大宮の攻撃を語る上で欠かせない3人がいる。
攻撃貢献ランキング(攻撃CBP)
| 順位 | 選手 | ポジション | 攻撃CBP | ゴール | アシスト | ラストパス |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | カプリーニ | FW | 34.17 | 3 | 4 | 32 |
| 2 | 泉柊椰 | MF | 22.03 | 4 | 2 | – |
| 3 | 加藤聖 | DF | 20.13 | 1 | 4 | 22 |
| 4 | 加藤玄 | MF | 20.01 | 0 | 0 | – |
| 5 | 関口凱心 | DF | 17.15 | 0 | 2 | – |
| 6 | 西尾隆矢 | DF | 15.99 | 1 | 0 | – |
| 7 | カルリーニョス ジュニオ | FW | 14.57 | 7 | 1 | – |
データ出典:Football LAB
ラストパス32本はJ2でも屈指の数字だ。
3ゴール4アシストと、数字以上にチャンスメイクで攻撃を支えている。
この選手がいるから大宮の攻撃が成り立つ。
40本のシュートから7ゴール(成功率17.5%)
これはストライカーとして優秀な決定率だ。
ゴール前での勝負強さは、プロとして「持っている」選手にしか出せない数字だ。
38本シュートを放ち、攻撃CBP 22.03。
中盤から得点に絡める選手の存在は、相手にとって非常に厄介だ。
シュートデータ
| 選手 | シュート | ゴール | 成功率 |
|---|---|---|---|
| カルリーニョス ジュニオ (FW) | 40本 | 7G | 17.5% |
| 泉柊椰 (MF) | 38本 | 4G | 10.5% |
| カプリーニ (FW) | 36本 | 3G | 8.3% |
データ出典:Football LAB
3人合計でシュート114本、14ゴール。
行動経済学に「アンカリング効果」という概念がある。
最初に提示された数値が基準になり、判断に影響を与えるというものだ。
大宮の攻撃陣が毎試合16.5本のシュートを浴びせ続けること自体が、対戦相手に心理的プレッシャーを与えている。
「今日も何本打たれるんだ」という恐怖がアンカーになり、相手の守備判断を狂わせる。
守備の「見えない強さ」|プレッシングの効果はデータに表れている

大宮の守備も、実はかなり機能している。
守備指標テーブル
| 指標 | 数値 | J2順位 |
|---|---|---|
| 被xG(被ゴール期待値) | 1.144 | 5位 |
| 被シュート数 | 12.3本/試合 | 5位 |
| 被チャンス構築率 | 10.1% | 5位 |
| 被攻撃回数 | 122.5回/試合 | 15位 |
| 被シュート成功率 | 10.0% | 13位 |
データ出典:Football LAB(2026.10.27 update)
ここが面白い。 被攻撃回数122.5回は15位。
これはゲーゲンプレスの副作用でもある。
切替が早くボールを奪いにいく分、そこでボールを奪えないと一気に相手の攻撃は自陣までスピードをあげて迫ってくる。
要するに、ゲーゲンプレスが相手の攻撃を早めてしまうわけだ。
でもその副作用を完全に中和している。
被シュート12.3本は5位というデータから読み取れる。
相手にボールを持たれても、シュートまでは打たせない。
プレッシングを交わされても、相手の攻撃を途中で分断できる守備の設計を構築できている。
守備貢献ランキング(奪取CBP)
| 選手 | ポジション | 奪取CBP | 守備ポイント |
|---|---|---|---|
| 加藤玄 | MF | 158.43 | 17.59 |
| 関口凱心 | DF | 117.73 | 18.43 |
| 尾崎優成 | DF | 109.79 | 27.30 |
| 西尾隆矢 | DF | 103.70 | 29.48 |
| トム グローバー | GK | – | セーブCBP 4.55 |
データ出典:Football LAB
中盤でボールを刈り取り続けている。
この選手がゲーゲンプレスの「エンジン」だ。
出場時間1037分、13試合にフル稼働。
攻撃CBPも20.01(4位)で、守備だけでなく攻撃への貢献も高い。
まさにレッドブルが求める「走れて、奪えて、つなげる」中盤の理想形だ。
ハイラインを維持しながら広大なスペースをカバーする。
その負荷は大きい。でもそのミッションを実行している。
レッドブルの哲学が持つ「J1で通用する可能性」

ここまでデータを見てきて、僕が最も注目しているのは、このチームの「設計思想」だ。
RB大宮は、監督が好みの選手を集めるチームではない。
レッドブルグループの哲学に合った選手と監督を揃え、クラブ全体で一つの方向性を追求している。
ショートカウンター×中央突破という明確な「勝ちパターン」を持ち、xG・シュート数・チャンス構築率でJ2トップ3に入る攻撃力。
これはJ1でも十分に通用する武器だ。
現役時代に学んだことの一つに、「哲学を持つチームは強い」ということがある。
負けた理由が明確だから修正点がわかる。
次に何をすべきかがはっきりしているからこそ迷いがない。
セットプレーという「隠れた武器」
見落とされがちだが、大宮はセットプレーにも強みを持っている。
攻撃セットプレーのゴール率3.6%はJ23位。
シュート率28.7%も6位。セットプレーが得点源として機能している。
流れの中の攻撃だけでなく、セットプレーという「確率論」でも得点を積み上げられる。
これはシーズン終盤の競り合いで大きなアドバンテージになるはずだ。
まだまだ、J1昇格への引き出しが多いチームだ。
RB大宮の「本当の強さ」まとめ
「勝ち方」を知っているチームは確かに強い。
でも「自分たちのサッカー」を持っているチームは、もっと強くなれる。
RB大宮にはそれがある。
結果だけを見れば6位だ。
でもデータを見れば、このチームが持つポテンシャルの大きさがわかる。
この哲学を磨き続けた先に、J1の景色が待っているはずだ。
あなたの参考になればうれしい。
Just do it


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