「ついていきたい監督」は何が違う?選手が見抜くべき5つの判断基準

サッカー上達

良い監督かどうかは、勝率では判断できない。

選手が見るべきは、監督の”5つの行動”だと実体験から断言できます。

元プロサッカー選手として約10年間プレーし、7人以上の監督のもとでプレーしてきました。

こんにちは。アスリートの教養ブログ管理人のいちゃりばです。

この記事を読むとわかること:

  • 「ついていきたい監督」と「距離をとりたい監督」の決定的な5つの違い
  • 選手として自分の環境をどう判断すべきか
  • 今の環境がダメなら、どう動くべきか

読まずにいると、環境のせいで伸び悩んでいることに気づけないまま、大事な時間を失い続けます。


「この監督について行って、自分は成長できるのか?」

選手として、そんな不安を感じたことはないでしょうか。

僕はプロ10年の中で、何人もの監督と仕事をしました。

「この人のためなら走れる」と心から思えた監督もいれば、「一秒でも早くこのチームを出たい」と感じた監督もいる。

その違いは、戦術でも実績でもありませんでした。

監督の”日常の行動”に、すべてが表れていました。


選手が見るべき監督の判断基準は5つ

結論から言います。

監督が「ついていくべき人」か「距離をとるべき人」かは、以下の5つの行動で判断できます。

判断基準ついていきたい監督距離をとりたい監督
①選手への姿勢長期目線で選手に投資する短期の勝利のために選手を搾取する
②環境づくり力を発揮しやすい環境を整える掛け声と根性論で済ませる
③ミスへの対応再発防止の仕組みを考える犯人を探して吊し上げる
④マネジメント任せることから始めるマイクロマネジメントに走る
⑤語る内容チームへの愛を語るマウンティングと自慢話

この5つを知っておくだけで、
自分が置かれている環境を客観的に評価できるようになります。


選手の心理状態で見る「監督の影響力」

選手のパフォーマンスは、監督の行動に直結します。

項目ついていきたい監督の下距離をとりたい監督の下
練習への姿勢自主練が自然に増える言われたことだけやる
ミス後の思考「次はこうしよう」「怒られないようにしよう」
チーム内の空気切磋琢磨蹴落とし合い
ベンチの選手「次こそ」のギラつき「どうせ出れない」の諦め
チャレンジ失敗を恐れずトライ安全なプレーしか選ばない
成長速度急激に伸びる頭打ちになる

気づきましたか?

同じ選手でも、監督が変わるだけでプレーが変わる。

これは僕自身のプロ経験でも何度も目にしてきた事実です。


①「投資する監督」の下で選手は勝手に伸びる

ついていきたい監督は、選手に対して長期目線で投資をします。

  • 時間をかけ、評価基準を整備し、一貫した基準で評価する。

努力の方向性・チームの健全な競争・マインド面の成長をうながすことを、かなり優先度の高い役割として認識しています。

  • 評価基準を後回しにしない
  • よく観察し、気にかける
  • 感情ではなく基準で評価する

一方で、距離をとりたい監督は短期的な勝利にしか興味がありません。

  • 目先の結果だけ
  • チームの成果もオレのもの
  • 選手の成果もオレのもの

人を認めたり評価したりするのはへたくそ。

指示通りにプレーできる選手をこよなく愛しています。

手間ヒマかかる評価基準の明確化なんて「何それおいしいの?」状態。

選手からいかに奪い取れるかだけを考えています。

心理学で見る:「学習性無力感」

ここで心理学の「学習性無力感」という概念が関係しています。

アメリカの心理学者セリグマンが提唱した概念で、「何をやっても無駄だ」と学習してしまう状態のことです。

搾取型の監督の下にいると、選手は努力しても報われない経験を繰り返し、やがて挑戦すること自体をやめてしまいます。

選手が「どうせ何やっても一緒」と感じ始めたら、
それは選手のメンタルの問題ではなく、環境の問題です。


②環境を整える監督 vs 掛け声だけの監督

ついていきたい監督は、選手の力を発揮しやすい環境づくりに心を配ります。

ITツールでの体調管理、適切な練習量の見極め、心理的安全性の確保、目標やスケジュールの具現化、評価基準の明確化。

力を発揮しやすい環境を整えることが、
結局は最も生産性アップにつながると知っているからです。

さらに言えば、「監督」の存在は、それ自体が環境の一部であることを理解しています。

監督の地位は強い権限を伴います。
その言動の1つ1つが選手に与える影響は小さくありません。

一方で、距離をとりたい監督は根性論が大好きです。

「頑張れ」「なんとかしろ」
「気合だ」「ヤル気を出せ」

言われただけでモチベーションが上がるほど、人間は単純にはできていません。

このタイプの監督は、環境を整える工夫をしないだけではなく、自分の機嫌で人を振り回す。

  • 1人の選手をみせしめに干す
  • やり方を変えることを嫌がる
  • 服従させることが目的になっている

選手にとっての環境を悪化させる取り組みに精を出すパターンさえあります。

心理学で見る:「心理的安全性」

ここでハーバード大学のエドモンドソン教授が提唱する「心理的安全性」という概念が重要です。

心理的安全性とは、チームの中で「失敗しても罰せられない」「意見を言っても否定されない」と感じられる状態のことです。

選手が思い切ってプレーできるかどうかは、この心理的安全性があるかどうかで決まります。

掛け声や根性論では、絶対に生まれません。


③「再発防止」の監督と「犯人捜し」の監督

ついていきたい監督は、ミスや失敗を責めたりはしません。

長い目でみれば、ある程度の失敗は織り込み済み。失敗の責任は監督にある。

ミスした人のケアもリーダーの仕事。
大事なのは、同じミスが起こらない仕組みを考えること。

こういう考え方を持っているからです。

若手が急激に伸びる環境も、このような監督の下で起こります。

失点に直結するミスをしても、原因を言語化し、ミスが起こる前の状態を見直し、チームで未然に危険を防ぐ。

そして練習に落とし込むことで、選手は100%の意識で取り組みます。

この繰り返しが、急激に伸びる理由です。

一方で、距離をとりたい監督は責任をとることを心から恐れています。

犯人を見つけ、その人を吊るし上げ、「人が変わればミスは減る」と思い込む。

悪いのは常に選手で、自分の采配は正しいと信じている。

【体験談】映像を何度も流して1人の選手を吊し上げた監督

僕の実体験ですが、試合後の振り返りミーティングで、1人の選手を吊し上げ、映像を何度も流し、いかにその選手が悪いのか、1時間使ってしまう監督がいました。

あのミーティングルームの空気は、今でも忘れられません。

  • 誰も目を合わせない。
  • 吊し上げられている選手は下を向いたまま。

他の選手は「次は自分かもしれない」と怯えている。

あの瞬間、チーム全員が「もうこの監督についていくのは無理だ」と思ったはずです。


④「任せる監督」と「マイクロマネジメント」の監督

ついていきたい監督は、選手をよく見ています。

  • 丁寧に観察し、丁寧にコミュニケーションする。
  • 1人1人に合ったプレーを任せる。
  • 選手を1人前に扱い、適度に頼る。
  • チャレンジを応援し、成長を支援する。

人間には、経験を通じてしか学べない面があります。

それをよく承知していて、致命傷にならない程度に転ばせながら、選手を伸ばしていく。

チームの目標やルールはもちろんありますが、そこに向かう「過程」を委ねてくれます。

一方で、距離をとりたい監督は選手を信頼することができません。

自分の保身が第一で、チームマネジメントより、いかに自分が守られるかを考えます。

だから、全体の管理のためというよりは、自分の不安を解消するために、選手の箸の上げ下ろしまで監視しようとします。

【体験談】パターン練習だらけのマイクロマネジメント

僕の実体験ですが、パターン練習多め、後ろ向きはワンタッチ、サイドは必ずクロス。

ある程度のチーム原則は必要ですが、
攻撃面に多くのルールがあると選手は疲弊していきます。

心理学で見る:「自己決定理論」

ここで社会心理学者デシとライアンが提唱した「自己決定理論」が関係しています。

自己決定理論とは、人間が最もモチベーション高く活動できるのは「自律性」「有能感」「関係性」の3つの欲求が満たされたときだという理論です。

マイクロマネジメントは、この「自律性」を根こそぎ奪います。

「自分で考えてプレーしている」という感覚がなくなると、選手はロボットのようになる。

指示待ちになり、判断力が落ち、試合で使えなくなる。


⑤「愛を語る監督」と「マウンティング」の監督

ついていきたい監督は、クラブのやり方に、仲間に、目的に愛があります。

監督個人の利益に固執するのではなく、試合を観戦しにきているお客さんやサッカーを共に行う仲間みんなの利益を考えるわけです。

  • 「こうやって役に立ちたいよね」
  • 「こうやって価値を出したいよね」

そういう思いを語ってくれるから、そういう行動を示してくれるから、チームは一つとなり「ついていきたい」と思うわけです。

一方で、距離をとりたい監督は、クラブの先にいる人のこと、仲間のこと、未来のこと、将来のことを語ることができません。

代わりにやるのは、マウンティング。

自慢話、昔語り、真偽のアヤシイ武勇伝。

聞かされている方は冷めていく一方です。


選手として「今の環境」を判断するチェックリスト

今の監督や環境がどちらに近いか、5つのチェックで確認してみてください。

チェック項目◯の場合×の場合
評価基準が明確で一貫している✓ 成長できる環境→ 感情評価のリスク
ミスした後に仕組みの見直しがある✓ 成長できる環境→ 犯人捜しの文化
練習で自分なりの工夫が許される✓ 成長できる環境→ マイクロマネジメント
「ナイストライ」と言ってもらえる✓ 成長できる環境→ 心理的安全性の欠如
監督がチームの未来を語っている✓ 成長できる環境→ 自己保身型

◯が3つ以上:成長できる環境にいます。全力で取り組みましょう。

◯が2つ以下:環境を変える選択肢を真剣に考えるべきタイミングかもしれません。


「でも環境を変えられない」と思った方へ

そう感じる気持ちはわかります。

僕も「この監督は無理だ」と思いながら、すぐには動けなかった時期がありました。

でも、知っておいてほしいことがあります。

あなたが成長できないのは、あなたのせいじゃないかもしれない。

環境の問題であることも多い。

「今の環境は自分の努力が報われる場所か?」

その問いに「NO」と感じたなら、
移籍も、チーム変更も、あなたの正当な権利です。

自分のサッカー人生を、合わない監督に消費させてはいけません。


まとめ:監督を見抜く5つの判断基準

判断基準ついていきたい監督距離をとりたい監督選手への影響
①選手への姿勢長期投資短期搾取成長 vs 消耗
②環境づくり環境整備掛け声のみ安心 vs 萎縮
③ミス対応再発防止犯人捜し挑戦 vs 恐怖
④マネジメント任せるマイクロ管理自律 vs 依存
⑤語る内容愛を語るマウンティング団結 vs 分裂

選手として今日からできること

  • 自分の環境を5つのチェックリストで客観的に評価してみる
  • 「ついていきたい監督」の要素を、先輩として実践してみる
  • 環境が合わないと感じたら、行動の選択肢を調べ始める

気を付けないと僕も「距離をとりたい人」になってしまうかも。

そういう自戒をこめて、書いた記事です。

自分の環境がどちらか考えつつ、自分がどちらになりそうか考えつつ、目指す方向に近づいていきたいなと思います。

あなたの参考になればうれしいです。

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