こう思った人、多いと思います。
2026年8月、日本代表の「10番」堂安律がフランクフルトからサウジアラビア1部・アルイテハドへの移籍で合意したと報じられました。
移籍金33億円。年俸16億円。
手取り16億円です。
この数字を見たら、誰だって心が動く。
でも、元Jリーガーとしてプロで10年プレーした立場から、正直に言いたい。
この移籍には反対です。
堂安律が本気でW杯優勝を口にしているのなら、5大リーグにしがみつくべきだと思っています。
この記事を読めば、なぜ僕がこの移籍に反対なのか、データと経験に基づいた理由がわかります。
僕がプロ時代に感じた「環境の力」
僕がプロ時代にいちばん成長したのは、
毎日のように自分より上手い選手とやり合っていたときです。
「まだまだだ」と痛感する日々。
あの環境がなかったら、成長できなかった。
逆に、楽にプレーできる環境に行ったとき、
自分の成長が止まったのを感じたこともあります。
サッカー選手の成長は、環境のレベルに比例する。
これは、プロを10年やった僕の実感です。
結論:堂安律のサウジ移籍はW杯優勝と矛盾する
| 理由 | データ |
|---|---|
| 5大リーグを離れると「世界基準」の日常がなくなる | W杯ベスト8の主力はほぼ全員5大リーグ所属 |
| サウジリーグから日本代表に選ばれた選手はゼロ | 代表選考で不利になるリスク |
| 一度落ちたら戻るのは極めて難しい | サッカー界の「不可逆性」 |
| 堂安は5大リーグで戦える実力がある | フランクフルトで31試合5得点3アシスト |
この記事を読むとわかること
① W杯で結果を出している国の選手が、
なぜ5大リーグでプレーしているのかがデータでわかる
② サウジリーグに行くことのリスクが、選手経験者の目線で理解できる
③ 堂安律にとって何が最善の選択なのか、冷静に考える材料が得られる
④ 「年俸16億円」という数字に隠された、見えないコストが見えてくる
堂安律のキャリア年表
| 年 | 所属 | リーグ | 成績 |
|---|---|---|---|
| 2017-2019 | フローニンゲン | エールディビジ | 65試合14得点 |
| 2019-2022 | PSV | エールディビジ | 42試合6得点 |
| 2020-2021 | ビーレフェルト(ローン) | ブンデスリーガ | 29試合5得点 |
| 2022-2025 | フライブルク | ブンデスリーガ | 82試合7得点 |
| 2025-2026 | フランクフルト | ブンデスリーガ | 31試合5得点3アシスト |
| 2026- | アルイテハド? | サウジプロリーグ | 年俸16億円(所得税なし) |
日本代表キャリア
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 代表キャップ数 | 64試合 |
| 代表得点 | 11得点 |
| W杯2022 | ドイツ戦・スペイン戦で2ゴール |
| W杯2026 | メンバー入り(フランクフルト所属として) |
| 背番号 | 10(日本代表) |
2026年W杯ベスト8の国と選手の所属リーグ
| 国 | 主力の所属リーグ |
|---|---|
| フランス | プレミア、リーグ・アン、レアル・マドリード等 |
| スペイン | ラ・リーガ、プレミア、ブンデスリーガ等 |
| イングランド | ほぼ全員プレミアリーグ |
| アルゼンチン | プレミア、ラ・リーガ、セリエA等 |
| ベルギー | セリエA、プレミア、ブンデスリーガ等 |
| モロッコ | リーグ・アン、ラ・リーガ、プレミア等 |
| ノルウェー | セリエA、プレミア、ブンデスリーガ等 |
| スイス | ブンデスリーガ、セリエA、プレミア等 |
ベスト8進出国の主力選手は、ほぼ全員が欧州5大リーグ(プレミア・ラ・リーガ・ブンデスリーガ・セリエA・リーグ・アン)でプレーしている。
5大リーグを離れると「世界基準」の日常がなくなる

5大リーグでプレーするということは、毎日が世界基準だということです。
この「日常」が選手を成長させる。
堂安律はブンデスリーガで4シーズンプレーしてきました。
- ビーレフェルト
- フライブルク
- フランクフルト
毎週、バイエルン・ミュンヘンやドルトムントと戦う世界。
この環境で5年間鍛えられた堂安の実力は、本物です。
でも、サウジプロリーグの競争レベルは5大リーグとは違う。
クリロナ、ベンゼマ、マネといったスター選手がいるのは事実。
でも、リーグ全体のレベル、対戦相手の質、
日常の練習強度は、ブンデスリーガとは比べものにならない。
心理学ではフロー状態という概念があります。
自分の能力と挑戦のレベルが釣り合っているとき、人は最高のパフォーマンスを発揮する。
サウジリーグに行けば、堂安は「楽に」プレーできるかもしれない。
でも、その「楽さ」が堂安のW杯での競争力を奪う可能性がある。
2026年W杯ベスト8に進出した8カ国の主力選手を見てください。
フランス、スペイン、イングランド、アルゼンチン、
ベルギー、モロッコ、ノルウェー、スイス。
これらの国の主力選手は、ほぼ全員が5大リーグでプレーしている。
サウジリーグでプレーしている主力選手は、ベスト8の中にはいない。
これがデータの示す現実です。
W杯で戦える選手は、日常的に5大リーグの強度でプレーしている選手です。
欧州以外から日本代表に選ばれた選手は実質ゼロ

これまでサウジプロリーグでプレーした日本人選手は、いません。
だから「サウジリーグから日本代表に選ばれた選手はゼロ」というのは当然のデータです。
でも、考えてほしい。
森保監督の代表選考を見れば、
欧州でプレーしている選手が圧倒的に優遇されているのは明白です。
2026年W杯メンバー26人中、23人が欧州クラブ所属。
フィールドプレーヤーでJ
リーグ所属は長友佑都(39歳/FC東京)ただ1人。
しかも長友が選ばれたのは、
実力よりもW杯を知る精神的支柱としての役割が大きかった。
「どこでプレーしているか」は代表選考に影響する。
5大リーグにいれば、毎週の試合が「代表選考のアピール」になる。
監督やスタッフが現地で視察に来る。
サウジリーグに行ったら、そのすべてが失われる。
森保監督が「CLが基準」という選手評価軸を持っているとも報じられています。
CLに出られるクラブで戦うことが、代表への最短ルート。
サウジリーグは、CLには出られない。
心理学では損失回避バイアスという概念があります。
人は「得ること」よりも「失うこと」に約2倍の痛みを感じる。
でも、堂安のケースでは逆のことが起きている。
年俸16億円を「得る」ことに目が行って、5大リーグでのキャリアを「失う」ことの重大さが見えなくなっている。
でも、5大リーグのキャリアを失うコストは、お金では計算できない。
一度落ちたら戻るのは極めて難しい

サッカー界には、残酷な法則があります。
一度レベルを落とすと、元のレベルに戻るのは極めて難しい。
これは僕がプロ時代に身をもって感じたことです。
レベルの高い環境で揉まれていると、体が「そのレベル」に適応する。
すべてが「そのレベル」に合わせて研ぎ澄まされる。
でも、レベルの低い環境に行くと、体は「そのレベル」に適応してしまう。
判断が遅くなる。プレスが甘くなる。体のキレが落ちる。
自分では気づかないうちに、「世界基準」からずれていく。
「2年サウジでプレーして、残り2年でW杯前に欧州に戻る」という案もある。
でも、正直に言います。
28歳でサウジに行って、30歳で5大リーグに戻る。
30歳のサウジ帰りの選手に、
5大リーグの上位クラブがオファーを出すか。
出さない。
これが現実です。
評価基準がしっかりしているリーグ、
つまり5大リーグで結果を出し続けることでしか、上のステップには行けない。
ブンデスリーガで31試合5得点3アシスト。
この数字は悪くない。でも、もっと上を目指せる数字でもある。
フランクフルトでもう1シーズン、10得点を目指す。
そうすれば、プレミアリーグやラ・リーガからオファーが来る可能性がある。
5大リーグの中でステップアップすることが、W杯優勝への道です。
堂安律は5大リーグで戦える実力がある
堂安律の問題は、5大リーグで通用しないことではない。
むしろ、通用しているのに出ていくことが問題。
フランクフルトでの1年目。
ブンデスリーガ31試合5得点3アシスト。
チームの主力として、シーズンを通してプレーした。
2022年のW杯では、ドイツ戦とスペイン戦でゴールを決めた。
日本代表の「10番」を背負っている。
この選手が、なぜサウジに行くのか。
心理学では現在バイアス(現在志向バイアス)という概念があります。
人は未来の大きな利益よりも、目の前の利益を過大評価する傾向がある。
年俸16億円。所得税ゼロ。手取り16億円。
この「今すぐ手に入る巨額の報酬」が、
「将来のW杯優勝」という大きな目標を上回ってしまう。
お金で動くことを否定するつもりはありません。
プロ選手だから、稼ぐことは大事です。
でも、堂安律は「W杯優勝」を公言している選手です。
本気でそう言っているのなら、
しがみつく。
欧州の5大リーグで、もがき続ける。
その中で評価基準がしっかりしているリーグで活躍して、上に上がる。
これしかない。
「16億円稼いで何が悪いの?」への答え

その意見は正しいです。
プロ選手がお金を稼ぐことは、まったく悪くない。
選手人生は短い。稼げるときに稼ぐべきだ。
その考え方は100%理解できます。
でも、この記事は「お金」の話をしているのではない。
「W杯優勝」の話をしています。
堂安律が「W杯で優勝したい」と本気で言っているのなら。
その言葉に嘘がないのなら。
5大リーグにしがみつくべきだ。
もちろん、絶対はない。
サウジに行っても代表に選ばれ続ける可能性はゼロではない。
サウジで圧倒的な数字を残して、
2年後に5大リーグに戻れる可能性もゼロではない。
でも、データは厳しい現実を示している。
W杯で勝つ国の選手は、5大リーグでプレーしている。
欧州リーグから日本代表に呼ばれた選手は、直近で限りなく少ない。
この状況で、堂安が「W杯優勝」を目指すなら。
答えは明確だと思います。
堂安律のサウジ移籍 考察まとめ

| 理由 | 本質 |
|---|---|
| 5大リーグを離れると世界基準がなくなる | W杯ベスト8の主力は全員5大リーグ |
| サウジリーグから代表選出はゼロ | 代表選考で不利になる |
| 一度落ちたら戻れない | サッカー界の不可逆性 |
| 堂安は5大リーグで通用している | 手放す必要がない |
堂安律は、W杯でドイツとスペインからゴールを奪った男です。
日本代表の「10番」です。
その選手が、5大リーグから離れていいのか。
僕は「ダメだ」と思っています。
ただし、どうなるかは誰にもわからない。
結果がすべてを証明する。
堂安律がどんな選択をしても、僕はその先の結果を見届けたい。
堂安律プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 選手名 | 堂安律(どうあん りつ) |
| 生年月日 | 1998年6月16日(28歳) |
| 身長 | 172cm |
| ポジション | MF/FW(右ウイング) |
| 出身 | 兵庫県尼崎市 |
| ユース | ガンバ大阪ユース |
| 主な経歴 | G大阪→フローニンゲン→PSV→ビーレフェルト(ローン)→フライブルク→フランクフルト |
| 代表歴 | 64試合11得点(W杯2022: ドイツ戦・スペイン戦2ゴール) |
| 背番号 | 10(日本代表) |
| サウジ移籍報道 | アルイテハド/移籍金33億円・年俸16億円 |
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