〜冷静さと情熱を兼ね備えた現代型ストライカー〜
2025年シーズン、鹿島アントラーズの中心にいるのはやはり 鈴木優磨 だろう。
彼のプレーを追いかけていると、
単なるストライカーの枠を超えて「チームを動かす存在」へと成長していることがわかる。
「感情的に見えて冷静」なリーダーシップ
中村憲剛氏も評価していたように、
鈴木優磨の最大の特徴は 冷静さの裏に隠された情熱のコントロール にある。
ピッチ上で大きな声を出したり、感情を前面に出す姿はよく目にするが、それは単なる感情の爆発ではない。
「いまチームに勢いを与えるべきか」
「ここは落ち着かせるべきか」
そうした状況を冷静に判断しながら、あえて感情を演出している。
チームを引き締めるための“パフォーマンス”として感情を使える選手は稀少であり
この点で彼はリーダーとして非常に優れている印象を受ける。
監督との関係性 ― 熱量と冷静さのバランス
サッカーにおいて監督の“熱”が強すぎると、選手は「やらされ感」に陥りがちだ。
鬼木達監督のように優勝経験も豊富で、強い情熱を持つ指揮官の場合、
ピッチ上にその熱量を超える存在がいないと、チームが受け身になることがある。
一方、鹿島の現状では鈴木優磨が監督の熱を受け止めつつ、ピッチ上で冷静に判断できている。
「この時間帯は急ぐべきか、それとも試合を落ち着かせるべきか」
――その判断を監督任せにせず、自らピッチ上で決断できる。
監督の情熱に飲み込まれないバランス感覚こそ、今の鹿島が好調を維持できている大きな要因の一つだ。
オールラウンダーとしての完成度
若い頃の鈴木は「前線で体を張るストライカー」という印象が強かった。
しかし今は、プレーの幅が大きく広がっている。
- ボールを収めて時間を作る
- サイドや中盤に顔を出してゲームをつなぐ
- 必要ならドリブルで運ぶ
- 守備でもハードワークを惜しまない
まさに “オール8の選手” という表現がぴったりだ。
突出した一芸というよりは、現代サッカーで必要とされるすべてを高水準でこなしている。
ストライカーでありながら、試合のリズムを読む司令塔的な役割まで担えるのは、彼が頭脳的に成長している証拠だろう。
サッカーIQを支える「映像分析」
ここで強調したいのは、鈴木選手の サッカーIQの高さ だ。
実際に彼と一緒にプレーした選手から聞いた話によると、
とにかくサッカー映像をよく見る。
DAZNでJリーグや海外サッカーを徹底的にチェックし、
自分にとって良い動きはどれかを学び続けている。
ラップが好きという一面もあるが、
それ以上にサッカーへの情熱が強く、暇さえあれば試合映像を見ているそうだ。
この習慣が、彼の「現代サッカーに適応する力」を生み出している。
強度（インテンシティ）の高いスタイルや、世界基準の動きを理解しているのは
日頃の映像分析が大きく影響していると言える。
サッカー選手として上達する上で、「映像を見ること」がいかに重要か。
鈴木選手の姿勢は、それを体現している。
感情の使い分け ― 若手への影響力
鈴木優磨のもう一つの凄さは、感情表現の使い分けだ。
松村選手のような若手には強い言葉をかけ、「もっとやれるだろ」と火をつける。
逆に、新加入のエイヴェル選手には無理に厳しくせず、必要な声をかけをしている。
ただ感情をぶつけるのではなく、「誰にどう言うべきか」を理解したうえで行動している。
これは経験だけでなく、
選手一人ひとりをよく観察している証拠であり、リーダーシップの質の高さを感じられる。
「チームのため＝自分のため」の意識
40番という鹿島の伝統的な番号を背負う責任感は大きい。
しかし鈴木は「チームのために自分を犠牲にする」というよりも、
「自分が成長すれば、それがチームの力になる」という考えを持っているように見える。
サッカーでは結果を出せば多少の“わがまま”も許容される。
その現実を理解し、自分のプレーを選びつつも、
最終的にはチームを勝たせている点に、彼のしたたかさと強さがある。
まとめ
鈴木優磨の凄さを整理すると、
- 感情を演出し、チームを引き締める冷静さ
- 監督の情熱を受け止めつつ、ピッチ上で自ら判断できるバランス感覚
- 攻守すべてを高水準でこなすオールラウンダーぶり
- 選手によって接し方を変えるリーダーシップ
- 自分の成長をチームの力に変えるマインド
これらが揃った今の鈴木優磨は、
単なるストライカーではなく 鹿島の象徴的存在 へと進化している。
2025年シーズン、鹿島アントラーズが優勝を狙えるかどうかは
彼の存在感にかかっていると言っても過言ではないだろう。
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