サッカー選手として成長していくために、必要な「思考的能力」とは何でしょうか?
「技術やフィジカルは伸びているのに、試合で実力が出せないのはなぜ?」
「メンタルの弱さは、どうやって鍛えればいい?」
「プレッシャーや緊張を力に変える方法はある?」
「親はどんなサポートをすればいいの?」
最近このような質問を受けました。そのような疑問に答えます。
この記事では、サッカー選手に必要な4つの思考的能力を、実体験を交えながら解説します。
読むことで、日々の練習や試合への向き合い方が変わり、より高いレベルでプレーできる思考法が身につくはずです。
- 言語化能力
- 感情のマネジメント能力
- 自己一致力
- 違和感を感じ取る力
この記事では、それぞれの能力がなぜ重要なのか、どうやって鍛えればいいのかを具体例とともに解説します。
言語化能力|プレーの再現性を生む力
言語化能力とは、自分の思考や感じたことを正確に言葉にできる力です。
サッカーでは全く同じプレーが二度起こることはほとんどありませんが、「似た状況」は繰り返し訪れます。
そこで必要なのが、自分の体験や判断を言葉として形にすること。
これができると、
- 良かったプレーを再現できる
- 失敗の原因を明確にできる
- チームメイトや監督に自分の意図を正しく伝えられる
たとえば、ゴールを決めたときに「たまたまうまくいった」ではなく、
「相手DFの視線が一瞬切れた瞬間に動き出した」と言語化できれば、そのプレーは再現性は高くなります。

言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える [ 樺沢 紫苑 ]
鍛え方
- 練習や試合後、「なぜ成功したか/失敗したか」をノートに書く
- 感覚でやったことに「言葉という形」をつける習慣を持つ
- 仲間や指導者に、自分の意図を具体的に説明する
感情のマネジメント能力
サッカーは感情の起伏が激しいスポーツです。
試合中に審判の判定に苛立ったり、所属チームで出場機会を奪われて不満を抱いたりすることも良くあります。
ここで大事なのは、感情を抑え込むことではなく、自分の感情を認識し、適切な形で表現する力。
感情のマネジメントができる選手は、
- ミスの後も冷静に次のプレーへ切り替えられる
- チーム内の衝突を防ぎ、人間関係を維持できる
- 審判や監督との不要な対立を避けられる
社会でもこれは同じで、感情を整えた上で伝えられる人は信頼を集めます。
失敗談
僕自身の失敗談として現役時代、ベテラン選手に言い返してしまい、監督からの印象が悪化。
試合に使われなくなった経験があります。
自分が正しいと思っても、その場でぶつけるのは得策ではないと痛感しました。
信念を貫くことも重要ですが感情で発する言葉には、相手を攻撃する内容が多く含まれていることを学びました。冷静になり感情を俯瞰することが重要です。
成功談
逆に、監督からあからさまに干された時期、何も言わずに練習を積み重ねました。
そして巡ってきたチャンスで同点ゴールを決め、信頼を取り戻せた経験もあります。
監督の心理として、見限っていた選手が救ってくれることほど、心に刺さることはない。
逆境こそ意外と信頼を得るチャンスに変わることをこの経験で、深く学びました。
鍛え方
- 感情が高ぶったら、まず5秒深呼吸して「今言うべきか?」を考える
- 短期的な勝ち負けより、長期的な信頼を優先する
- 「理解したフリ」も時には戦略
自己一致力|信念と行動を一致させる
自己一致力とは、自分が本当にやりたいこと・目指すことと、今の行動が合っているかを問い続ける力です。
自己一致力が高い選手は、
- 「これは自分のプレー哲学に沿っているか?」を考えられる
- 不要な環境ややり方を取捨選択できる
- 自分の責任で決断できる
逆に自己一致力が低いと、環境に流され続け、やがて精神的に疲弊します。
これはビジネスでも同じで、現状維持バイアスに縛られてしまう人と、目的のために環境を変えられる人では、数年後に大きな差がつきます。
現役・引退後での気づき
周りに流されて良かった経験は一度もありません。
引退後の会社員生活で改めて、信念を通すことが信頼を生み、
自分の人生をコントロールできている感覚がある自己一致力を鍛えることは
精神的なゆとりにもつながると実感しています。
問いかけてほしい
「明日死ぬとわかっていても、今日と同じ過ごし方をするか?」
この質問に「はい」と言えないなら、自分の行動を見直す必要があります。
違和感を感じ取る力|危機を未然に防ぐアンテナ
最後は違和感を感じ取る力です。
「あれ、なんかおかしいな」という小さなサインを無視しないこと。
サッカー現場では、
- 監督・コーチの指導法に矛盾を感じる
- チーム内の雰囲気が少しずつ悪くなっている
- ミーティングで発言が減ってきた・発言できない雰囲気
こうした違和感を早めに察知できる選手は、チームの危機を未然に防げます。
逆にスルーすると、後になって「あの時感じた違和感が正しかった」と気づくことになります。
この力は、パワハラやハラスメントを回避するためにも社会で非常に役立ちます。
※ただただ面白い。
違和感を感じているが素直に感じることを義務教育で矯正させられていることに衝撃です。

違和感 (扶桑社新書) [ 太田 光 ]
後悔
違和感を感じても行動に移せず、後から「あの時動けば…」と後悔したことが多々ありました。
違和感に対処するなら、早ければ早いほどいい。
これが僕の10年のサッカー人生で感じた教訓です。
鍛え方
- 「なんかおかしい」を放置しない
- 友人や家族に第三者視点で相談する
- 確信がなくても、小さく行動して確かめる
まとめ|4つの思考的能力はサッカーも社会も共通
今回紹介した4つの能力は、サッカー選手として成功するためだけでなく、社会で活躍するためにも必要不可欠です。
- 言語化能力:再現性とチームの理解を生む
- 感情のマネジメント能力:冷静な判断と信頼関係を築く
- 自己一致力:信念と行動を一致させる
- 違和感を感じ取る力:危機を未然に防ぐ
私自身、10年間のプロ生活と社会人としての経験を通じて、この4つは環境が変わっても通用する普遍的な力だと確信しています。
これらを意識的に鍛えれば、サッカーでもビジネスでも、あなたは一歩先を行く存在になれるはずです。
コメント