鹿島アントラーズ vs アルビレックス新潟|元Jリーガーが徹底解説する戦術・メンタル・優勝への課題【Jリーグ2025】

サッカー対策

2025年8月23日に行われた
鹿島アントラーズ vs アルビレックス新潟 の一戦は、鹿島がアウェーで 2-1の勝利
スコア上は接戦に見えましたが、内容を振り返るとアルビレックス新潟の試合展開。
その中でも「鹿島らしい勝ち方」と同時に、鹿島は「課題の露呈」もあった試合だったと感じます。

僕は元Jリーガーとして、この試合を 戦術面メンタル面 の両方から見てみました。
サッカーファンや鹿島ファンはもちろん、これから選手を目指す子どもたちやその保護者にも伝えたい内容です。


鹿島アントラーズ|勝因はやはり鈴木優磨の存在感

この試合でもっとも印象的だったのは、やはり 鈴木優磨選手のリーダーシップ

特に印象的なシーンがありました。
エイヴェル選手が左サイドで右足から濃野選手にゴール前の浮き玉を試みましたが、パスが流れて相手ゴールキックになった場面。
普通なら「あそこは繋げよ」と苛立ちが出てもおかしくない場面です。

しかし鈴木選手は即座に拍手を送り、「ナイスアイデアだ」とチームを鼓舞。
この一言、この一挙手が新加入選手を安心させ、チームの士気を高める。

僕自身もプロ生活の中で「声ひとつでチームが変わる」瞬間を何度も経験しました。
鈴木選手は、戦術的リーダーであると同時に、メンタル的にもチームを牽引する象徴になっています。

ただし――
鹿島が本当に優勝を狙うなら、「鈴木一人頼み」では足りない
あと2人、試合の流れを変えられる「象徴的存在」が必要だと強く感じました。


知念選手の存在感|プロフェッショナルの真価

守備面では 知念選手 のプレーが際立ちました。

  • ボールダッシュの速さ
  • 空中戦での競り合いの強さ
  • 足元の落ち着き

特に印象的だったのは、相手のロングボールをことごとく跳ね返しつつ、奪った後の最初のプレーが落ち着いている点です。
出場機会が限られる中で、あのパフォーマンスを維持できるのは簡単ではありません。
普段からどれだけ準備をしているか、その姿勢が垣間見えました。

僕も現役時代、「いつ声がかかっても結果を出す準備」をしていましたが、実際に90分間フルに高強度を保つのは本当に難しい。知念選手はまさに「プロの鑑」だと感じました。


鹿島の攻撃面|深みを欠いた前半

前半の鹿島は攻撃の形が単調でした。

  • ポケットを突く動きが少ない
  • そのためコーナーキックの獲得数も少ない
  • サイドで押し込んでもバックパスに逃げるシーンが多い

例えば松村選手が出場すると、縦への推進力で「最悪コーナーキック」を取れる。
そうなれば相手にとって嫌な時間を作れるのですが、前半はそうした「深さを作る攻撃」がほとんど見られませんでした。

結果的に、ゴール前で決定機を作るシーンは限られ、鈴木・田川の前線コンビもまだ噛み合っていない印象。田川選手はスペースを生かすタイプですが、
鹿島の攻撃リズムと鈴木選手とのコンビネーションはまだフィットしていません。

好印象としては、レオ・セアラ選手とチャブリッチ選手の存在感。
何もないところから得点を取れる圧倒的な期待感も印象的な試合でした。


ボランチ問題|柴崎岳の不在が重い

この試合を通して感じたのは、鹿島には「縦パスを通せるボランチ」が足りないということ。

  • 船橋選手 → 安定感はあるが、縦パスの回数が少ない。
  • 知念選手 → 意識はあるが、まだ精度が十分ではない。

この穴を埋める存在が、本来なら 柴崎岳選手 のはず。
しかし現状ではベンチに座る時間が多く、コンディションの問題も見える。
彼のパフォーマンスが上がらない限り、
鹿島の攻撃は「横と後ろに流れるだけ」になってしまう可能性が高いです。

僕自身、プレーメーカーの有無でチームのスタイルが180度変わるのを経験しました。
鹿島が優勝するためには、やはり柴崎選手の復活が不可欠だと思います。


アルビレックス新潟|ボール保持と課題

一方、新潟はボールを握る時間が長く、鹿島を押し込む展開もありました。

  • 細かいパス回しでビルドアップ
  • サイドを経由して侵入を試みる

しかしゴール前に入っていく人数が少なく、シュートまで結びつかない場面が多い。
この「ゴール前の厚み不足」が改善されない限り、ボール保持率が高くても勝ち切ることは難しいと感じました。


優勝争いの展望

この試合を経て、僕の中での優勝候補は 鹿島・町田・神戸 の3チームに絞られました。

  • 鹿島:守備の安定感と勝負強さ。ただし中盤の構築力不足。
       しっくりこない感覚がある。勝負どころで得点が取れないのでは。
  • 町田:ハイプレスと走力を武器に一気に勢いを持っている。
       全体的な選手のバランス・ポテンシャルが良い。
  • 神戸:経験豊富な選手と安定した試合運び。
       武藤選手・大迫選手の復帰が好材料。

鹿島がこの中で頭一つ抜けるためには、

  1. 柴崎岳の復調
  2. 田川選手のフィット
  3. 鈴木優磨以外のリーダー的存在の登場

この3つが必要条件だと僕は考えます。


総括

鹿島は「勝ち切る力」がある一方で、「優勝できるチームか」と問われれば疑問が残ります。
戦術的な細部、個人のパフォーマンス、そしてメンタルのバランス。
この3つを揃えられるかどうかが、今シーズンのタイトルを左右するでしょう。

鬼木体制1年目ですから、
鹿島アントラーズイズムと融合するためにはもう少し時間がかかる印象があります。

新潟に関しては「ボールを持ちながらゴールに迫れない」という課題を克服できるかがカギ。
いかにフィニッシュの回数を増やせるかで、順位も大きく変わるはずです。

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